マンション業界の浮き沈みを追え!デベロッパーの変遷物語
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このコラムは、不動産用語や物件の見方について、私が疑問や難しさを感じた題材をピックアップして、屋敷家好(やしき・いえよし)先生に解説していただいたものです。
皆様も私と一緒に、不動産に関するあれこれを学びましょう!
目次
マンション建築を手掛ける不動産デベロッパーは数多く存在しますが、各社それぞれに歴史があり、昔はまったく違う社名だったり他企業と合併していたりと、意外な沿革に驚かされることも多々あります。
マンションデベロッパーとして著名な企業の社名変更や合併、あるいは倒産といった歴史を追い、マンション業界の栄枯盛衰が伺えるデータをお届けします。
「ライオンズマンション」シリーズを手掛ける大京、オリックスの傘下に
ライオンの銅像でおなじみの「ライオンズマンション」シリーズを手掛ける株式会社 大京は、2014年よりオリックス株式会社の傘下となっています。
また、株式会社 大京が2013年に子会社化した穴吹工務店は、「サーパス」シリーズを手掛けているデベロッパーです。
これにより、「ライオンズマンション」シリーズと「サーパス」シリーズは、現在はオリックス株式会社のブランドとなっています。
1964年(昭和39年) | 大京観光株式会社設立。 |
1987年(昭和62年) | 社名を株式会社 大京に変更。 |
2004年(平成16年) | 産業再生機構による支援が決定される。 |
2005年(平成17年) | オリックス株式会社と資本提携し、オリックスの関連会社になる。 |
2007年(平成19年) | 扶桑レクセルを完全子会社化する。 |
2009年(平成21年) | 扶桑レクセルを簡易吸収合併する。 |
2013年(平成25年) | 穴吹工務店の全株式を取得し100%子会社化する。 |
2014年(平成26年) | オリックス株式会社の連結子会社となる。 |
「レクセル」シリーズの扶桑レクセルは大京に吸収合併
1947年(昭和22年) | 扶桑興業株式会社設立。 |
1961年(昭和36年) | 扶桑レクセル株式会社に社名変更。 |
2007年(平成19年) | 大京の完全子会社化の決定。 |
2009年(平成21年) | 大京に簡易吸収合併。 |
「サーパス」シリーズの穴吹工務店は大京の傘下
1905年(明治38年) | 個人事業として創業。 |
1961年(昭和36年) | 株式会社 穴吹工務店設立。 |
2009年(平成21年) | 会社更生法の適用を申請して経営破綻。 |
2013年(平成25年) | 株式会社 大京の100%子会社となる。 |
「ダイアパレス」シリーズのダイア建設は、本体はなく一部地域でのみ存在
1976年(昭和51年) | 五光住宅株式会社を設立。 |
1976年(昭和51年) | 同年8月にダイヤモンド建設株式会社に商号変更。 |
1977年(昭和52年) | ダイア建設株式会社に商号変更。 |
2008年(平成20年) | 民事再生法の適用を申請。 |
2009年(平成21年) | 株式会社 大和地所の出資を受け、同社子会社となる。 同年11月に新設分割により、再生計画遂行業務を株式会社 DKSに承継させる。 |
2014年(平成26年) | 名古屋・新潟地区の事業をダイア建設新潟株式会社、ダイア建設名古屋株式会社として分割し、株式会社 大和地所と合併し解散。 |
新潟エリアのダイア建設新潟株式会社、中京エリアのダイア建設名古屋株式会社が「ダイアパレス」ブランドを承継しています。
なお、創業者は大京観光出身とのこと。
「セザール」シリーズのセザールコーポレーションは今、本体はない
1971年(昭和46年) | 株式会社ジャパンプランニングセンターを設立。 |
1984年(昭和59年) | 株式会社セザールに商号を変更。 |
2003年(平成15年) | 株式会社セザール、民事再生法申請。 |
TVCMにも登場していたカウボーイのクマ、イメージキャラクター「セザールボーイ」が一部の世代の記憶に残るセザールコーポレーションは、民事再生法を申請し、現在は解体されています。
その後、グループ会社が諸々引き継ぐなか、不動産管理部門のみが株式会社 穴吹ハウジングサービス(穴吹興産グループ)の完全子会社である株式会社 あなぶきセザールサポートへ吸収分割される形となり、管理業務は脈々と受け継がれています。
「イニシア」「コスモ」シリーズのコスモスイニシアは今、大和ハウス工業の持分法適用関連会社
1969年(昭和44年) | 株式会社日本リクルート映画社として設立。 |
1974年(昭和49年) | 事業目的を不動産に変更し、商号を環境開発株式会社に変更。 |
1985年(昭和60年) | 株式会社リクルートコスモスに商号変更。 |
2005年(平成17年) | MBOの手法によりリクルートグループから独立。 |
2006年(平成18年) | 株式会社コスモスイニシアに商号変更。 |
2009年(平成21年) | 事業再生ADR手続が成立。 |
2013年(平成25年) | 大和ハウス工業株式会社が株式の64.17%(間接含む)を保有する。 |
2024年(令和6年) | 大和ハウス工業株式会社が株式の一部を株式会社 共立メンテナンスに譲渡し、持株比率38.22%(持分法適用関連会社)に(共立メンテナンス持株比率25.03%)。三社で資本業務提携契約を締結。 |
「藤和シティコープ」「藤和シティホームズ」「ベリスタ」シリーズの藤和不動産は今、三菱地所レジデンスに
1957年(昭和32年) | 藤和不動産株式会社として設立。 |
2011年(平成23年) | 三菱地所株式会社、三菱地所リアルエステートサービス株式会社、藤和不動産株式会社の住宅分譲事業の統合により、三菱地所レジデンス株式会社を発足。 |
「アデニウム」「エルフィーノ」シリーズのジョイント・コーポレーション、「ハイホーム」シリーズのエルカクエイは今、長谷工グループに
■株式会社 エルカクエイ
1958年(昭和33年) | 角栄建設株式会社設立。 |
1989年(平成元年) | 角栄建設株式会社が株式会社 エルカクエイに商号変更。 |
2000年(平成12年) | 株式会社 エルカクエイが会社更生法の適用を申請。 株式会社 ジョイント・コーポレーションの傘下に。 |
2008年(平成20年) | 株式会社 エルカクエイが株式会社 ジョイント・ランドを合併。 株式会社 ジョイント・レジデンシャル不動産に商号変更。 |
■株式会社 ジョイント・レジデンシャル
1986年(昭和61年) | 株式会社 ジョイント設立。 |
1989年(平成元年) | 株式会社 ジョイントが株式会社 ジョイント・コーポレーションに商号変更。 |
2009年(平成21年) | 株式会社 ジョイント・コーポレーション、株式会社 ジョイント・レジデンシャル不動産会社が会社更生法の適用を申請。 |
2010年(平成22年) | 株式会社 レノの傘下となる。 |
2012年(平成24年) | スポンサーが株式会社 レノから、TPG Inc.と英・サヴィルズグループに変更。 |
2015年(平成27年) | 株式会社 長谷工コーポレーションとその子会社である不二建設株式会社が株式会社ジョイント・コーポレーションの全株式を取得。 |
2017年(平成29年) | 株式会社 長谷工不動産ホールディングスの子会社となる。 株式会社 ジョイント・レジデンシャル不動産会社が株式会社 長谷工不動産ホールディングスに商号変更。 総合地所株式会社、株式会社 ジョイント・コーポレーション、株式会社 ジョイント・プロパティを株式会社 長谷工不動産ホールディングスの子会社とする。 |
2019年(平成31年) | 株式会社 長谷工不動産ホールディングスの分譲マンション事業及び賃貸マンション保有事業を株式会社 ジョイント・コーポレーションに移管。 株式会社 ジョイント・コーポレーションは株式会社 長谷工不動産に商号変更。 |
「ルネ」シリーズの総合地所は今、長谷工グループに
1977年(昭和52年) | 安宅産業株式会社の住宅部門を承継し、安宅地所株式会社を設立。 |
1984年(昭和59年) | 総合地所株式会社に商号変更。 |
1999年(平成11年) | 永昌不動産株式会社を合併。 |
2009年(平成21年) | トータルハウジング株式会社の賃貸事業を合併。 |
2015年(平成27年) | 株式会社 長谷工コーポレーションが子会社化。 |
2017年(平成29年) | 株式会社 長谷工不動産ホールディングスの子会社となる。 |
「グローリオ」シリーズのセコムホームライフは今、穴吹興産に
1966年(昭和41年) | さくら建設株式会社として創業。6月に堀内建設株式会社に商号変更。 |
1990年(平成2年) | 株式会社 ホリウチコーポレーションに商号変更。 |
1997年(平成9年) | セコム株式会社の資本参加を得て、株式会社エクレールに商号変更。 |
2000年(平成12年) | セコムグループのセコム朝日株式会社(旧・朝日建物株式会社|朝日パリオ、フリーディオシリーズ)と合併。 |
2020年(令和2年) | 穴吹興産株式会社の子会社となる。 商号をあなぶきホームライフ株式会社へ変更。 |
2024年(令和6年) | 穴吹興産株式会社へ吸収合併された上で解散。 |
栄枯盛衰……今は存在しないかつてのデベロッパーたち
2008年9月に起きたリーマン・ブラザーズの破綻を契機に発生した世界規模の金融不安「リーマンショック」の直後に倒産となったマンションデベロッパーが多く見られます。
株式会社 朋友建設
株式会社 朋友建設は、「ホーユウパレス」シリーズを供給していたデベロッパーです。
1990年(平成2年)11月に破産しています。
株式会社 西洋環境開発
西武流通グループだった株式会社 西洋環境開発は、「ヴィルヌーブ」シリーズを供給していたデベロッパーです。
2000年(平成12年)7月に特別清算しています。
株式会社 地産
株式会社 地産は「チサンマンション」「アルコート」シリーズを手掛けていたデベロッパーです。
2002年(平成14年)8月に会社更生法を申請しています。
株式会社 アルテライン(旧・株式会社 大地住販)
元は株式会社 大地住販という社名だった株式会社 アルテラインは、「ドラゴンマンション」シリーズを供給していました。
2003年(平成15年)2月に破産しました。
株式会社 ヒューザー
株式会社 ヒューザーは、「グランドステージ」シリーズを供給していたデベロッパーです。
2006年(平成18年)2月に破産しました。
株式会社 アジャクス
株式会社 アジャクスは、「フェリズ」「ルシオン」シリーズを供給していたデベロッパーです。
2008年(平成20年)2月に破産しました。
株式会社 アーバンコーポレイション
株式会社 アーバンコーポレイションは、「アーバンビュー」シリーズを供給していたデベロッパーです。
2008年(平成20年)8月に民事再生法申請を申請しています。
株式会社 エルクリエイト
株式会社 エルクリエイトは「エルズ」シリーズを供給していました。
2008年(平成20年)10月に破産しました。
グレイス住販株式会社
グレイス住販株式会社は、「サングレイス」シリーズを供給していたデベロッパーです。
2008年(平成20年)1月に事業停止しています。
株式会社 ケイ・エス・シー
株式会社 ケイ・エス・シーは「カインドステージ」シリーズを供給していました。
2008年(平成20年)6月に破産しました。
グローバル・ファンデックス株式会社
グローバル・ファンデックス株式会社は、「プライムスクエアー」シリーズを供給していました。
2008年(平成20年)7月に破産しました。
株式会社興大
株式会社興大は、「クイーンシティ」シリーズを供給していたデベロッパーです。
2008年(平成20年)7月に破産しています。
近藤産業株式会社
近藤産業株式会社は、「メロディハイム」シリーズを供給していました。
2008年(平成20年)5月に破産しています。
株式会社 日本エイペックス
株式会社 日本エイペックスは、「エイペックス」シリーズを供給していたデベロッパーです。
2008年(平成20年)10月に破産しています。
株式会社 ノエル
株式会社 ノエルは「グランノエル」シリーズを供給していたデベロッパーです。
2008年(平成20年)10月に破産しました。
東洋ホーム株式会社
東洋ホーム株式会社は「リブゼ」シリーズを供給していました。
2008年(平成20年)2月に破産しています。
株式会社 アートハウジング
株式会社 アートハウジングは、「サニーコート」シリーズを供給していました。
2009年(平成21年)10月に民事再生法を申請しています。
株式会社 アゼル
株式会社 アゼルは、「エンゼル」シリーズの分譲や他社分譲マンションの施工も手掛けていたデベロッパーです。
2009年(平成21年)3月に自己破産を申請しました。
一休商事株式会社
一休商事株式会社は、「ファーストクラス」シリーズを供給していたデベロッパーです。
2009年(平成21年)8月に破産しました。
栄泉不動産株式会社
住友生命保険相互会社の関連会社だった栄泉不動産株式会社は「エクシオ」「ロイヤルアーク」シリーズを供給していました。
2009年(平成21年)1月に民事再生法を申請しました。
その後、米国のモルガン・スタンレーグループの傘下となり、フィンテックグローバル株式会社出資の「株式会社新栄不動産開発」に事業が継承されました。
康和地所株式会社
康和地所株式会社は「リリーベル」シリーズを供給していたデベロッパーです。
2009年(平成21年)3月に破産しています。
藤澤建設株式会社
藤澤建設株式会社は、「ローヤルコーポ」「ロ-ヤルシティ」シリーズを供給していました。
2009年(平成21年)10月に特別清算しました。
株式会社 グーディッシュ
株式会社 グーディッシュは、「グーディッシュ」シリーズを供給していました。
2011年(平成23年)6月に破産しています。
今回取り上げた各社は、マンションデベロッパーのうち一部です。
新たな不動産会社も日々誕生していますし、今後もマンション業界には様々なドラマが紡がれていくことでしょう……!
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