不動産売買にかかる『仲介手数料』とは…値引き交渉はアリ?「仲介手数料無料」はどういう仕組み?
※当サイトのコンテンツにはプロモーションが含まれています。
このコラムは、不動産用語や物件の見方について、私が疑問や難しさを感じた題材をピックアップして、屋敷家好(やしき・いえよし)先生に解説していただいたものです。
皆様も私と一緒に、不動産に関するあれこれを学びましょう!
目次
不動産物件の売買で、不動産会社に仲介を依頼した時は、売買契約の成立時に売主・買主双方に「仲介手数料」が発生します。
これは、売買契約の成立に向けて様々な営業活動を行ったり、売主や買主に代わって様々な手続きを処理することへの報酬として設定されているものです。
不動産会社に仲介を依頼せず、売主が自力で買主を見つけて売買の手続きを完了させる場合は、仲介手数料は必要ありません。
とはいえ、個人で契約手続きを完遂するのは、かなり労力のかかる大変な作業。
仲介手数料がかかっても、プロにおまかせする方がオススメです。
仲介手数料とは
不動産売買における「仲介手数料」とは、不動産会社に不動産売買の仲介を依頼した際にかかる成功報酬を指します。
売買だけではなく、賃貸契約でも発生するものですが、ここでは売買契約においての仲介手数料のみを扱います。
仲介する不動産会社の数で状況が変化する「両手取引」「片手取引」
仲介手数料は、売主側も買主側も不動産会社に支払うのが一般的です。
仲介の形態には、一つの会社が売主と買主の双方と契約して仲介する「両手取引」、売主と買主それぞれが異なる会社と契約しており二社間で仲介する「片手取引」の2つがあります。
両手取引の場合は、売主と買主の両方から仲介手数料が支払われるため、不動産会社にとってのメリットが大きく、成約率が高まりやすいメリットがある一方、他社に契約が流れないよう囲い込みをしがちな傾向があり、お客様にとって良い話を見逃してしまうケースがあるというデメリットがあります。
片手取引の場合は、不動産のプロ同士の交渉となり、不動産会社同士がそれぞれのお客様の利益を保護しようとするため、契約の成立が難航しがちというデメリットがあります。
仲介の形態によって仲介手数料の値引きや無料化にもつながるので、片手取引なのか両手取引なのかもチェックしておきたいポイントです。
物件価格によって仲介手数料の上限額が変わる
仲介手数料は、不動産会社に支払われる成功報酬であり、「宅地建物取引業法」という法律によって上限額が決められています。
また、上限額には取引額を基準とした段階が設けられています。
- 物件価格(取引額)200万円以下の部分……取引の【5%】+消費税
- 物件価格(取引額)200万円を超え400万円以下の部分……取引の【4%】+消費税
- 物件価格(取引額)400万円を超える部分……取引の【3%】+消費税
仲介手数料の計算でややこしいのは、例えば物件価格が1,000万円だった場合、(~200万円分)200万円・(200~400万円分)200万円・(400万円分~)600万円と3つに分け、それぞれ手数料を算出して合算する必要があるのです。
また、「上限」とされているとおり、ここで定められているのは仲介手数料の基準そのものではなく、最大額です。
同じ物件を取り扱っている不動産会社でも、仲介手数料を低く設定する会社と上限ぴったりの会社とを比較すると、最終的な費用に差が出ることになりますので、このあたりも不動産会社選びのチェックポイントと言えます。
仲介手数料にも消費税はかかる
前述のとおり、仲介手数料の上限額の計算には、消費税も加算されます。
例えば、1,000万円の物件で算出される仲介手数料は36万円になりますが、ここに消費税がかかる形になります。
価格の低い取引には「18万ルール」も
仲介手数料に加えて、宅地建物取引業の改正により2018年1月から「低廉な空家等の売買取引における媒介報酬額(仲介手数料)の特例」が施行されました。
これは、400万円以下の不動産売買の際は、売主からの仲介手数料上限を最大18万円(税別)とするという取り決めです。
この「18万ルール」は主に地方の空き家問題を解消することを目的として定められたもので、あまりにも成果報酬が低い物件は不動産会社が取り扱いたがらないという問題を解消し、空き家物件を不動産市場の中に戻すようにする試みのひとつです。
ただし、400万円以下の物件すべてが仲介手数料上限18万円とされるわけではなく、実際には、従来の計算式に物件調査にかかる人件費や交通費などを加算するという形をとるようです。
「仲介手数料無料」はどういう仕組み?
不動産会社の広告で、「仲介手数料は無料」というキャッチコピーを見たことはないでしょうか?
これは、仲介手数料の上限額は決まっている反面、下限額には制限がないため可能となっています。
不動産会社が所有する「自社物件」は仲介手数料が発生しない
仲介手数料が無料になるケースのひとつに、その不動産会社が所有する「自社物件」と呼ばれる物件を購入する場合が挙げられます。
この場合は、仲介ではなく売主(不動産会社)との直接の売買契約となるため、仲介手数料は発生しません。
ここでは、それ以外の、仲介物件における仲介手数料無料のケースについて解説します。
自社物件以外で仲介手数料が無料になる理由
不動産会社にとって成果報酬となっている仲介手数料を無料にするということは、仲介業務をボランティアで行っているように見えるかもしれません。
しかし、不動産会社は企業ですから、決してボランティアで物件を仲介することはありません。
買主からの仲介手数料ではなく、売主(この場合、主に不動産会社)からのみ仲介手数料を得ていたり、または各種処理の簡略化やIT化でのコストカットといった形で収益を確保しているのです。
例えば、売主が不動産会社で建売住宅や中古住宅のリフォーム物件を売主に代わって販売することで、買主の仲介手数料は無料にするといった手段などがよくあるケースです。
この場合、売主である不動産会社からの仲介手数料と買主からの仲介手数料の両方を受け取った方が当然利益は上がります。
しかし、競合となる他の不動産会社も同じ物件を扱うため、お客様は「どの会社に仲介してもらうか」を選ぶ必要があり、複数の不動産会社を比較検討することになります。
複数の不動産会社の中から自社を選んでもらうための差別化のポイントとして「仲介手数料無料」というメリットを打ち出しているわけです。
こうした仕組みは、上で解説した「両手取引」でのケースにも見られます。
売主と買主の双方から仲介手数料を受け取ることが可能な「両手取引」ですが、買主側に対しては「仲介手数料無料」というメリットを作り出すことで買主を探しやすくするという一種の広告戦略に使用しているケースです。
「仲介手数料無料」を掲げる不動産会社の多くは、無理なく無料化を実現する努力をしていますが、中には「事務手数料」といった名目でお客様から回収していたり、仲介業務のサービス品質が非常に低いレベルになっている不動産会社も存在します。
こうした不動産会社に仲介を依頼すると、得をするどころか損になってしまうことも多々ありますので、事前に口コミなどをチェックしておくのがオススメです。
仲介手数料は値引き交渉できる?
仲介手数料の金額も、物件価格によっては数十万~数百万円となります。
物件の売買には、ほかにも税金など諸々の費用が必要となるため、新生活のスタートに備えて可能な限り節約したいところ。
仲介手数料の値引き交渉は可能なのでしょうか?
結論から述べると、「不動産会社によっては可能」です。
仲介手数料は上限額は定められているものの、それより低い価格や0円にすることには問題はありません。
ただし、”仲介業務の報酬”という仲介手数料の性質上、値引き交渉のやり方やタイミングによっては、不動産会社と良い関係を築けなくなってしまう可能性もありますので、注意が必要です。
交渉する場合は、できるだけ早い段階で行うのがオススメです。
仲介手数料の支払いのタイミングは?
仲介手数料は、契約が成立した段階で発生するものです。
つまり、物件の仲介を依頼した段階では、まだ支払いの必要はありません。
ただし、一口に「契約成立後の支払い」と言っても、主に3つの支払い方法があります。
▼分割系
売買契約締結時点で半分を支払い、物件引き渡しの完了時点で残りの半分を支払うという方法。
ちなみにこちらを国土交通省が推奨しています。
▼一括系
売買契約締結時点で全額支払う方法と、物件引き渡しの完了時点で全額を支払うという方法です。(先か後かの違いです)
仲介手数料は、金額だけではなく、支払い方法についてもあらかじめ確認しておくのがオススメです。
契約が取り消しになった場合は仲介手数料はどうなる?
不動産物件の売買においては、契約の申し入れがあっても成立までスムーズに進まないケースは多々あります。
このような場合は、もちろん仲介手数料は発生しません。
また、取り消しに際して、別途手数料が発生するといったこともありません。
不動産会社が懸命に活動してくれているにも関わらず、なかなか契約成立に至れない……といったケースも稀にありますが、期間が長引いたからといって追加料金が発生することはないので、安心してお任せしましょう。
逆に言えば、そうしたことを引き合いにして手数料や広告料などを請求してくる不動産会社は、悪質とみなした方が良いでしょう。
不動産物件は、広告でパッと目に入る物件価格以外にも、税金や仲介手数料など様々な費用が必要になります。
特に、不動産会社によって違いが出やすい仲介手数料は、節約ポイントのひとつとも言うことができます。
ただし、安さだけを基準に選んでしまうと、悪質な業者に引っ掛かりやすくなるのは、不動産の世界にもあてはまります。
実績や口コミ、また担当者との相性など、総合的に判断することが、不動産会社選びのコツです。
この記事を気に入ったら
「いいね」やフォローをお願いします
e-tocoに掲載可能な物件を募集しています!
お取り扱い物件の”いいとこ”をアピールしたい不動産業者様はご依頼ください。