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不動産の”買い時”の見極め方

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e-tocoアシスタントスタッフの張替由佳(はりかえ・ゆか)です!
このコラムは、不動産用語や物件の見方について、私が疑問や難しさを感じた題材をピックアップして、屋敷家好(やしき・いえよし)先生に解説していただいたものです。
皆様も私と一緒に、不動産に関するあれこれを学びましょう!

様々な要因で価格が変動する不動産。
バブル期の土地の高騰からの価格下落や、2020年オリンピックに関連した不動産需要の高まりといった出来事を見ると、不動産の買い時のタイミングが気になってしまうものですよね。
大きなお買い物である不動産、できるだけ損はしたくない……買い時の見極め方を知りたい!という方も多いのでは?
不動産購入における”買い時”について解説します。

結論から言うと、『買いたいと思った時が買い時』

いきなりの結論ですが、不動産は、買いたいと思った時が一番の買い時です。

とはいえ、不動産の価格は、一定ではありません。
前述のバブル期のように景気変動を受けて価格が大幅に変化するケースもありますし、地主の世代交代により多くの土地が売り出されて価格にも影響が及ぶといったケースもあります。
また、新しく駅が造られて周辺地域の価値が上昇するといった局地的な価格変動が起きる場合もあります。
近年では、2020年の東京オリンピックを控えて首都圏の不動産市況が活性化しており、2020年を境に首都圏の土地の価格が下落すると予想する声も。

「価格の変動があるなら、安くなっている時を狙って購入した方が失敗が少ないのでは?」
という疑問が生じるかもしれませんが、これが実に難しい話なのです。

例えば、「新しい駅が造られて、周辺地域の価値が上昇する」といったケースに注目すると、「駅ができる前にその情報をいち早くキャッチして土地を購入する」ということが必要になります。
多くの人が知る前に情報をキャッチしなければ、人より早く土地を購入することはできませんから、土地や鉄道の開発プロジェクトの関係者と密接なつながりを保ち、常に情報を流してもらう必要がある……と考えると、「安くなっている時を狙う」というのが難しい、ということがわかります。

「でも、景気と連動した物件価格の変化だったら、情報通でなくても判断できるのでは?」
確かに、景気の傾向は普段の生活でも感じられますし、いろいろな物件を長い目でチェックし続けていけば、物件価格との連動も見えてくるかもしれません。
しかし、景気が悪い時期に物件を購入することも、これまたリスクがあるのです。

「不動産が安くなっている時」を狙うのは意外と難しいんです!

景気変動は不動産価値だけでなく世帯収入にも影響するので買い時の判断材料としては微妙

景気の変動は、不動産にだけ影響する訳ではありません。
多くの人は、景気の変動に合わせて収入や支出にも変化があります。
つまり、生活も景気に合わせて変動する傾向があり、「不動産が安くなっているから購入しよう」という判断にはリスクが伴うのです。

景気が良い時期は、一般的なサラリーマンならボーナスや給与も上昇しやすく、そのため物件購入者も増加し、物件価格も高くなる傾向があります。

不動産の"買い時"の見極め方

逆に、景気が悪い時期は、物件購入者も減るため物件価格やローン金利も低くなる傾向があります。
しかし、物件購入者が減る主な理由は、給与やボーナスなど収入の低下。
これにより、物件購入時のローン審査が通らなくなるケースも。
また、景気が悪い時期に金利の低い変動ローンを利用して物件を購入した場合は、金利が大きく上昇してしまうと返済が厳しくなるリスクもあります。
こうした経緯で家を維持できなくなるパターンも、決して珍しいことではありません。

つまり、「景気が悪い時期に値下がりした不動産を購入する」ということは、一見簡単なように見えますが、実はなかなかのハイリスクなのです。
これを成功させるには、十分な頭金を用意して住宅ローンをできるだけ減らす、もしくは住宅ローンを組まずに物件を購入する必要があります。

逆に言えば、十分な資金がある状態であれば、景気が悪く不動産も値下がり傾向が出ている時期は、”買い時”と考えてもいいかもしれません。

景気の変動は世帯収入とも連動しがちなので、不動産が安くなったとしても、購入に踏み切るにはリスクが高くなるんです。

結婚や相続などライフステージの変化も買い時に

家族を含むライフステージの変化もまた、不動産の買い時です。

ライフステージの変化として、まず「結婚」があります。
新しい家庭となり、新居を構えるというタイミングで、住まいを購入する方も少なくありません。

不動産の"買い時"の見極め方

次に、子供が生まれるタイミング。
子育てしやすい環境に向けて引っ越しをする家族も多い中、物件を購入するケースも。
そのまま賃貸物件を選んだ場合も、子供が就学年齢になった時を区切りに学区選びに合わせて物件を購入するケースもよくあります。

また、親からの相続を受けた際にも、不動産物件の購入の買い時と言えます。
相続した不動産を売却し、新たに別の不動産を購入するケースは珍しくありません。

そのほかにも、定年退職や子供の独立といった場面で、よりコンパクトなサイズの住まいに買い替える場合も。
転職や転勤、社宅の退去期限といった仕事に関わる変化をきっかけに住宅を購入する例も、よくあるケースです。

生活のリズムが変わる時期だからこそ、落ち着いた住環境で暮らしのペースを整えることは、とても大切です。
人生の節目は、不動産の買い時でもある訳ですね。

この他にも、「財形貯蓄が一定の額に達した」「昇進した」というタイミングをきっかけに、持ち家を検討するケースも多いですね。

『買い時の季節』はある!年末、年度末が狙い目

景気の変動やライフステージに合わせた不動産の買い時の他にも、一年のうちに『買い時の季節』とも言うべき時期があります。

『買い時の季節』とは、年末と年度末。
不動産会社の都合上、物件が値下がりしがちな時期なのです。

年末や年度末の不動産会社は、売上ノルマの達成のため、物件価格を下げてでも売上を確保したいという思惑が強くなりがち。
値下げされていない物件でも、交渉スキル次第では、値引きを誘引できるかも!?

不動産の"買い時"の見極め方

もちろん、「安くなっていたから」「値引きされたから」という理由メインで物件を購入するのはNG!
価格面だけに注目せず、気に入った物件にターゲットを絞りましょう!

生涯賃貸という選択のメリットとデメリット

ここまで読んで、「欲しい時が買い時なら、不動産は買わないという選択もアリでは?」という疑問が生じた方もおられるかもしれません。
もちろん、不動産を所有するということは、それだけでリスクにもなりますし、持たないという選択肢もアリです。
持ち家を設けず、生涯を賃貸で過ごすことを前提にした場合、どのようなデメリットがあるのでしょうか?
メリットと合わせてピックアップしてみました。

不動産の"買い時"の見極め方

不動産を持たない場合のメリット

  • 家賃が必要だが固定資産税を納める必要がない
  • 環境や住民間に問題が生じた場合に引っ越ししやすい
  • 災害などで住宅が損壊した場合に修繕の責任を負わずに済む
  • 住んでいる土地や家屋の価値が下落した場合にも影響が少ない

不動産を持たない場合のデメリット

  • 賃貸物件の契約の際に、審査が通らない場合がある
  • 物件に手を加えたくても自由にリフォームできない
  • 定期借家契約の場合、気に入った住まいでも住み続けることができない
  • 支払った家賃が財産にならない
  • 貸主の都合に左右される場合がある

賃貸物件のデメリットで特に大きなものは、「賃貸物件の契約の際に、審査が通らない場合がある」という点です。
このデメリットは、フリーランスになるなど職業が変わったり年齢が高くなってくると、非常に大きな問題となってきます。
特に高齢者は、保証人がいない場合には転居がかなり難しい状況になりがち。
もっと家賃の低い物件に引っ越す必要があるけど、審査が通らず次の住まいが決まらない……という事態になるおそれがあります。

もちろん、住まいを購入した場合にも、住宅ローンの金利上昇(変動金利の場合)や維持費の支払いが難しくなり手放さなければならなかったり、土地や家屋の価値が下落してしまったり、災害で家屋が損壊してしまったりといったリスクはあります。

持ち家のリスクや賃貸のメリットなどを、ライフスタイルに合わせて日頃からよく検討しておく必要があります。
その上で、「住みたい」と思う物件が目に留まった時、その時が『物件の買い時』です。

不動産も人も、それぞれ個性があり、相性があります。
相性の良い物件と出会った時が、不動産の買い時のタイミングかもしれません。

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